Undercurrent

Undercurrent

アーティスト
Bill Evans
パブリッシャー
Blue Note Records
価格: ¥1,081

Undercurrentのレビュー

率直な感想として
時代を感じさせないセンスあるジャケット、統一感のある選曲、エヴァンスさんのピアノ演奏は聴いてて疲れるのでいつも聞くわけではないのですが、たまに聞きたくなり棚からCDを引っ張り出します。このアルバムに限って言うとギターが邪魔。うるさい。ギターを消したヴァージョンを出してほしいくらいです。
哀しみと儚さが胸を打つ「Dream Gypsy」
こんなにも盤中に詰まった音楽の世界観を的確に表現したジャケットは珍しい。
このモノクローム色と冷たい水中に浮遊する女性が全てを表していると言ったら過言だろうか。

他のレビュア様のご指摘通り、ビル・エヴァンスのピアノとジム・ホールのギターだけで構成された
音楽。冒頭「マイ・ファニー・バレンタイン」の独自色の強い解釈が際立って採り上げられがちの作
品だが、残りの曲は極めて叙情性の強いバラード中心の構成となっており、二人の織り成す美しい
旋律が堪能できる。これだけ音数少なく、ゆったりした構成だと普通は聴き手が途中で飽きてくるの
だが、テンポを落とした曲群でさえ二人の演奏の緊迫感が緩むことは無く、どこまでも聴き手を惹
きつけて離さない所が凄い。

人によって思い入れある曲は異なるだろうが、自分にとって忘れられないのが3曲目の「ドリーム・
ジプシー」である。冒頭エヴァンスの実に慎ましく儚げな旋律が流れる部分から、聴き手は既に夢
心地になる。そこに、テクニカルだが曲全体の静けさを壊すことの無いホールの絶妙なギターが絡
み、実に美しい二重唱のワルツを奏でる。ピアノとギターのひんやりとした感触の曇った音色は共
にジャケットのモノクローム色であり、お互いの演奏に主張が全く無いわけでは無いにも関わらず
、2つの音が絶妙に溶け合っている為に、曲自体の旋律の美しさがより際立つ。

他にも冒頭の滑るようなピアノの旋律が印象的なワルツ「スケイティング・イン・セントラルパーク」、
途中から挿入されるホールの消えゆくようだが味わい深い旋律が堪能出来る「ダーン・ザット・ドリー
ム」等、この作品に捨て曲など一つも無い。

巷の供給過剰な煩い音楽に疲れた時、夜寝る前にそっとこの珠玉の作品に耳を傾けて欲しい。
きっと心地良い夢の世界に導いてくれるはずである。
インタープレイの原質を鋭く記録した名演
ビル・エヴァンスといえば1959年末に結成したスコット・ラファロ、ポール・モチアンとのピアノ・トリオによるインタープレイによって不滅の地位を築いたことで知られる。しかしわずか1年半後、1961年6月のラファロの交通事故死が、ゆるぎないインタープレイの世界に終止符を打つことになったのである。その後エヴァンスは、チャック・イスラエル、ゲーリー・ピーコック、エディ・ゴメスといったラファロに肉薄する優れたベーシストとの共演をとおして1980年の死を迎えるまで数々の名演によってモダンジャズに輝かしい足跡を残すことになったが、このラファロを含むトリオでの神がかったプレイには一歩及ばなかったといえよう。ラファロを失ったエヴァンスがピアノトリオというフォーマットでなく、名手ジム・ホールとのギター、ピアノによるデュオでのインタープレイを望んだのはラファロという盟友を失った心の痛手を癒し、異なったフォーマットの中で自らのインタープレイの可能性を探る意味で、どうしても実現したい試みだったのだろう。トリオの複雑な絡み合いと異なり、デュオという相互の対話を通して真剣勝負のインタープレイが可能になる。マイ・ファニー・バレンタインという甘く切ないバラードでさえ、鋭く切り込む二つの個性がぶつかり合い、リズム、メロディ、ハーモニーが有機的に絡み一つの音楽世界を構築している。インタープレイとは何かという本質的な姿を示したデュオの大傑作であり、エヴァンス、ホールそれぞれの最良の部分を記録した名演として語り継がれるであろう。また、ジャケットの女性が湖の水面下に漂うセンセーショナルな写真は美の底流の静謐なイメージを伝える秀逸なデザインであり、音楽の内容と見事に一致している。
一番好きなジャズアルバム
冷たくてひたすら美しいまさにジャケそのままの名盤

全曲好きだけど特に5曲目が素晴らしい。ギターの音色がたまらん
このジャケにピンときたら買って損はありません!!
デュオの傑作 これにあり
ピアノとギターのデュエットというのは珍しい取り合わせです。それがビル・エヴァンスとジム・ホールという素晴らしいジャズ・ミュージシャンによる貴重な演奏ですから、悪いはずがありません。名盤の誉れが高く、今でも多くのジャズ愛好家に愛されているのは、その密度の濃い音楽の対話にあるからでしょう。

ピアノとギターがまるでお互いの気持ちを探るかのようにテーマを投げかけ、それに対しての応答がまた次のフレーズへと伝播していく様が目の前に浮かぶようです。
実際、通常のピアノ・トリオとは違い、ベースもドラムスもいません。つまりリズム楽器が無いので、エヴァンスもジム・ホールも和声を展開させながら、一方でリズムを刻み、メロディを発展させながら、テンポの変化をつけるという試みで音楽に大きな変化を齎しています。

この二人が天才たる所以は、音の足し算ではなく、引き算で勝負をしているところです。ともすれば饒舌な演奏になるところを必要な音しか使わずに最大の演奏効果をもたらす曲に仕上げている訳で、一期一会のスリリングさと楽しさの両方を感じさせてくれます。

冒頭の「My Funny Valentine」での緊張感溢れる掛け合いの妙も忘れられない演奏です。疾走感と応答の妙は天才同士の会話と受け取っています。

一番好きなのは、「Skating In Central Park」です。力を抜いて、心の底からこのデュオの時間を慈しんでいるような雰囲気が漂ってきます。ジム・ホールが途中、単音でピアノに合わせている箇所なんかは、あまりの心地よさにため息がでるくらい官能的でもあります。ワルツのテンポの心地よさと愛らしさは格別ですし、多くの人に聞いてほしい演奏です。何十回繰り返し聴いたのか分かりませんが、全く飽きることなく聞ける音楽はそうはありません。質の高さは一聴すれば明白ですから。